TECHOS KAISER SIGNAL

  

  

  

  

  

  

  

 テクノスはスイスのメーカーだったようですが、現在はブラジル資本の下にあるようです。日本人には馴染みの深いブランドで、1960〜1970年代にラドーと共に高級腕時計としてさかんに輸入販売されました。オメガなどには及びませんが、当時は国産高級機のワンランク上のポジションだったようです。高級時計については今以上に“スイス製”が幅を利かせていました。

 “シグナル”と名付けれたのは文字盤の丸い小窓が赤く“点滅”する仕組から。この小窓は1秒間に1回赤く“点滅”します。ただしこれを使って何かを計測するというよりは、見た目を楽しむもの。パッパッと光るように見える仕組みには遊び心が溢れています。

 カットガラス越しに見える文字盤はグラデーションのかかったモスグリーンで鏡面仕様。いかにも70年代の流行です。ベルトはズッシリとしたステンレス無垢。高級感が漂います。 2002.7 update

    

  

  

  

   

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

AS Cal.2063 21600振動 6振動/秒

  

  

  

  

     

  

  

 テン輪の下にはASのエボーシュマークと2063のキャリバーナンバーが刻印

  

  

 1896年スイスのグレンヒェンで時計機械を製造開始。ASは創設者アドルフ・シルトの頭文字。1926年にエボーシュSA創設に参加。フォルティスとブランパン向けにハーウッド(バンパー)式自動巻機械の提供を開始する。1978年ETAと合併。1983年にAS銘の機械製造を終了する。

  

 

  

  

シグナルの仕組を検証

時計師kuroさんもカイザーシグナルを所有されているとのことで、貴重な画像と解説を頂きました。 

  

  

上面からの機械画像

カレンダー伝え車の上には黒ペイントが施され、竹トンボのような羽が回りいかにも点滅しているように見せるアイデア

(解説・画像提供/kuroさん)

  

  

  

竹トンボのような羽とカレンダー伝え車 (画像提供/kuroさん)

「伝え車の裏の形状で0時ジャストにカレンダーを瞬時送りできる」そうです。

  

  

天真受け石(1)アンクル真穴石(2)ガンギ真穴石(3)です。上で外したカレンダー伝え車は(×)の位置。(☆)に竹トンボのようなシグナル車を取り付ける芯棒が出てきます。シグナル車(☆)はガンギ車(3)から力が伝達される構造。  (解説・画像提供/kuroさん) 

    

 kuroさんから頂いた情報

 カイザーシグナルは1970年前半に発売されたのではないでしょうか。私のところでも当時からテクノスを販売していましたがこの製品は知りませんでした。ただ修理は何十個かしたことがあります。当時のテクノス製品カタログにも出ていないところをみると単発で出た可能性もあるかも・・・。推測ですが、テクノス社がASの機械に手を加えて製品化し限定販売されたのかもしれません。所有する舶来時計カタログ(1972年)には別のカイザーが掲載されており、9面カットガラス、日窓は3時位置のものが4万3800円とあります。

  

  

  

(参考写真)全く同じ機械を載せる時計がMONDIAからも発売されていました。