NOMOS ORION

  

  

   

  

  

  

  

  

  

 NOMOSのORIONです。NOMOSはドイツ時計製造の中心地ザクセン州グラスヒュッテのメ−カー。グラスヒュッテはポーランドやチェコと国境を接する地域にある町。1845年に時計職人のアドルフ・ランゲがこの地に時計工房を作って以降、時計産業が根付きました。現在、グラスヒュッテを本拠地とする時計メ−カーには「ランゲ・アンド・ゾーネ」「グラスヒュッテ・オリジナル」「ミューレ」などがあります。また軍用時計で有名なチュチマの発祥の地はグラスヒュテ(こちらで解説)。この地域が旧東ドイツ地域にあったことから、第二次世界大戦後、多くのメ−カーの歴史が途絶え、東西ドイツ統一後に経営母体を変えて再出発を果たしたケースが多いようですね。NOMOSについては1906年にグラスヒュッテに設立されたと言われますが、1992年に再興されました。

 NOMOSを有名にしたのは、その完成されたデザインと搭載される高精度機械。NOMOSの時計はドイツ近代デザイン「バウハウス思想」を端的に受け継ぐと言われています。1919年、建築家ヴァルター・グロピウスによってワイマールに設立された美術学校「バウハウス」。バウハウスは芸術と技術を統一させた功績が大きく“デザインは性能の一部”とするドイツ工業製品デザインの基本理念となっています。現在「バウハウス」の学校自体は存在しませんが、発祥地ワイマールには「バウハウス美術館」が、首都ベルリンには「バウハウス資料館」があります。

 もう一方の特長である高精度機械。これはNOMOSの厳格な精度基準に裏打ちされています。クロノメーター検査の合格基準が「5姿勢、15日間試験、日差−4秒〜+6秒」なのに対して、NOMOSでは「4姿勢、6日間試験、日差0秒〜+7秒」。NOMOSに搭載される機械はクロノメーター規格に勝るとも劣らない高精度を達成しています。特に精度基準からも分かるように“遅れ”は決して許されません。この高精度機械は「ETA Peseux7001」をエボーシュ(時計機械メ−カー)のETA社から部品状態で納入、独自の改良を施して組立てられているとのこと。具体的な改良点は ・ブリッジのネジを青焼き加工 ・アンクル受と地板のダマスカス模様磨き ・テンプ受、輪列受、香箱受のブラスト仕上げ ・裏蓋内側、文字盤側地盤のベラルージ加工 ・一部ホイールのサンバースト加工 ・バランススプリングをNivarox社製に変更 ・ルビーを透明度の高いチェコ製に変更 ・緩急針に微調整用のネジを追加 ・主要パーツをニッケル/ゴールドでメッキ加工 これらの徹底したこだわりからドイツ時計中の精度テストでは圧倒的な成績を出しているのはもちろんのこと、汎用機械をベースとしているとは思えないほどの美しい仕上がりとなっています。

 また、ベルトには馬の尻部分の皮であるコードバンを使用。独特な光沢が美しく、牛革とは違ったシットリ感が肌によく馴染みます。皮ベルトながら水に強いのもコードバンの特長。

 ここで紹介するORIONはNOMOSのラインナップの中では異端な存在かもしれません。TANGENTEやLUDWIG、TETRAの直線を基調としたデザインこそNOMOSの代名詞的デザイン。その中でORIONNは湾曲したラグを持たせ、風防もドーム型を使用しています。一方で文字盤上のインデックスやハンドは直線を基調としたデザイン。異端とはいっても間違いなくNOMOSのデザイン思想は生きています。

 非常に薄型の時計ですが、金無垢ケースはズッシリ重く、装着感は高級感のそれ。アッサリ顔とブルースチール針が金無垢時計をスタイリッシュに見せてくれます。 2002.9 update

    

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

 図は取扱説明書から。ETA Peseux7001ベース。21600振動/時 6振動/秒 パワーリザーブ45時間。

 現在はETAから供給されるPeseux7001ですが、もともとは同じくエボーシュの「Peseux/プゾー」が作っていた機械機械です。プゾーは1923年、スイスのヌーシャテル地方にあった町“プゾー”で時計機械製造をはじめました。1933年にはETAなどが主導したエボーシュ連合「エボーシュSA」に参加。1985年に主力製品であったPeseux7001の製造を停止し、会社も清算されました。以降、この機械の製造は同年にエボーシュSAの後継組織となったETAに引き継がれることとなります。ちなみに現在のETAはスウォッチグループの製造部門。

 参考文献/ヴィンテージウォッチ7th(日経BP)、時計Begin vol.24(世界文化社)

    

  

  

エボーシュ製造の時計機械として多くのメ−カーに採用されたPeseux7001

なんとオリエントにも採用されていた? 画像提供/kuroさん

  

  

  

  

 

  

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