グランプリダイヤル オメガ公式カスタム 茶きサンプロデュース

 いまだにその存在、真贋が明確でないグランプリダイアル搭載のスピードマスター。オリジナルのマーク2をも所有する茶きサンが、グランプリダイアルのカスタムを仕上げる中でその真相に迫りました。貴重なカスタム・レポートをご覧下さい。

  

  

  

  

☆グランプリダイアルと私・・・(茶きサン・筆)

 

 入手は高額なリダン文字盤搭載品

 こちらのグランプリダイアルも色々なことがありました。ベースモデルは時計を依託販売するサイトから購入。グランプリダイアルに関しての知識が乏しい時でしたが、このカラフルなダイアルが乗っているスピマスはビギナーにとって大変魅力的に見えました。なんだかスウォッチぽいポップさとビジュアルにトキメイて。こちらも衝動的な購入でした(笑)。値段は24万円。今思うと本当におばかさんなんですが・・・(汗)。

 実はそのサイトでは時計のグランプリダイアルがリダンだと説明されていたんです。リダン文字盤のベースは黒文字盤。よって「黒&オレンジ」のグランプリダイヤルに仕上がっており、一般的に「グレー&オレンジ」と言われるグランプリダイアルとは明らかに異なります。またプリントがクロノ計から3箇所ともはみ出しており、シルク印刷の技術も稚拙。バーインデックスも妙に太く、にじんだ感じで本物のグランプリダイアルとの違いは明確でした。このとき、グランプリダイアルの写真を掲載しているサイトなどを見て、マーク2用のグランプリダイアルと比較をしましたが、明らかにお粗末なリダン。それでも一度芽生えた欲望には勝てず、大金を投じて購入してしまいました。

  

 迷ったあげく「スイス送りの刑」を依頼

 そんな経緯で入手した時計ですが届いてみてまたびっくり。オレンジに塗られたセンター秒針をはじめクロノ針の塗料もはがれ、一部文字盤内にかけらが落ちる有様(トホホ、、)。リダン文字盤であることもあり迷いましたが、スウォッチグループジャパンの某提携店にて、全ての針を交換してもらおうと無謀な賭けに出てみました。そこで技師の方が裏蓋を開けてムーブメントを見せてくれたのですが、なんとあちらこちらにサビが出ており、交換された部品も社外品が多く見受けられるとのこと。またもや「スイス送りの刑」に処すとの極刑を言い渡されてしまいビビッてキャンセルしてきました。

 しばらくの間、どうしたものかと悩んでいましたが、この時計を買ったのも何かの縁、最後まで面倒を見てやろうと決意。再度、某提携店に持ち込み、「スイス送りの刑」にしてくださいと申し出ました(笑)。「もしかしたらスイスのオメガの技師さんに、この洒落が分かる人がいて、オリジナルのグランプリダイヤルやオリジナルのオレンジ針に変更してくれたり、、、ムフフ」などと僅かな期待も。ただし、通常の黒文字盤と白ハンドになって帰ってくる覚悟もしていました。“処刑”後には、せっかくだからと年式に合ったブレスやベゼルを装着してあげようと、1450ブレスをヤフオクで落札し、某提携店からの連絡を待っていました。

   

 オリジナル部品の付け替えへ

 そんな時に某提携店のおねえさんから電話がかかってきました。「お預かりしているスピードマスターですが、スイスから同じタイプのグレーの文字盤を手配できると連絡がありました。いかがしますか?」。聞けば修理(カスタム?)料金は通常と同じとのこと。思いがけない連絡に、すかざず「それでお願いします!」と返答。そのときは「スイス人万歳!オメガ万歳!」と心の中で雄たけびを上げたものです。

 「グランプリダイアルの謎の一部が僕の時計によって解き明かされるのでは」といった興奮を抱きながら待つこと1ヶ月、実際に修理&OHから戻ってきたスピマスに装着されていたグランプリダイアルは、写真を見て頂いたとおりの「マーク2ダイヤル補修用」でした(笑)。それでも補習用にオメガが用意している公式部品です。ハンドは全てマーク2用のものですね。それにしてもさすがに新品、蓄光はすばらしく光ります。

  

  

  

  

  

  

  

 Ref.ST145-022 シリアル 45447586 シリアルナンバーからすると1984年前後の製造かと思われます。そこで時代的に合っている1450ブレスを装着しました。

   

  

  

  

 交換された文字盤はオメガの公式部品ですが、オメガマークは現行の横に広いもの。文字盤下部にトリチュウム表記もありません。Speedmasterの文字は旧書体。「r」の文字に特徴があります。
  

  

  

  

茶きサン所有のオリジナル(本物)「マーク2」

  

  

  

    

オリジナル(マーク2)とカスタムの比較写真


 文字盤の色はオリジナルのほうが深く、カスタムのほうはライトグレーといったところ。プリントもオリジナルのほうがエッジが効いていてシャープです。それに比べるとカスタムの方はやや甘い感じがしました。もちろんオリジナルは文字盤下部にトリチュウム表記(T)があります。ただしハンドは全て交換されているようでカスタムと同じくらに新しさを感じます。
 このマーク2もカスタムでお世話になっている時計師さんにOHをして頂いたのですが、当初は相当ひどい状態でした。何カ所か部品交換もしています。またもやヤフオクで勉強をさせて頂きました(涙)。

  

  

  

  

 左上がマーク2に搭載されたオリジナルのグランプリダイアル。右上が公式補修用のグランプリダイアルです。下の画像は当初搭載されていたリダンダイアル。

 リダンのダイアルはプリントがクロノ計から3箇所ともはみ出しており、シルク印刷の技術も稚拙。よく見てみるとステップ付の文字盤なんです。ですからベースは1970年前半までのスピマスに使われていたものだと推測。裏面には「SIGNER」の刻印を確認できますからベースの文字盤自体は本物です。ならば“もっとクオリティーの高いリダン”をしてくれよ!と言いたくもなりますヨ〜。それはリダンであってもブラック&オレンジのほうが雰囲気がいいから。補修用文字盤のグレーはライトグレーで軽い感じを受けるのです(本当にスウォッチテイスト)。オリジナルのマーク2は経年劣化(焼け?)なども影響して、チャコールグレーにC+Yを10%ずつ加えたグリーンがかった濃いグレー。こちらのほうが重厚感があっていいですよ♪

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