スピマスシルバー文字盤カスタム 〜序章〜

 オークションサイト「ebay」にてスピードマスタープロフェッショナルのシルバー文字盤(部品)を発見。次のような出品説明がありました。


 Omega Speedmaster SILVER Dial Extremely Rare

 Omega Speedmaster SILVER grey Dial VERY Rare. Was made for the white gold Speedmaster but can be used for the steel version. Cal 861/863/1861. All NEW/MINT and original Omega.

 つまりホワイトゴールドケースのスピードマスター用の文字盤で、多くのスピードマスターにも流用できるということ。で、この文字盤の使い道も特に考えぬまま落札。真贋はさておき、まずはシルバー文字盤を使用したホワイトゴールドのスピードマスターの存在を調べることからスタートです。

  

   

  

 1980年に記念発売されたアポロ11号月面着陸10周年記念モデルのホワイトゴールドバージョンであるRef:BC1450039(※BCはホワイトゴールドを表します)。通常のスピマスプロ初のシースルーバックモデルが同記念モデルとして発売され、それの特別モデルの位置付けだったようです。同時にイエローゴールドバージョンも発売されました。機械はCal.863。それまでのCal.861をシースルー用にリファイン、ホワイトゴールドバージョンでは機械にロジウムメッキが施されています。ちなみにステンレスケースの記念モデルの機械は赤金メッキでした。

  

  

  

1984年 Ref:BC3480062

Ref:36893031
 スピードマスターのホワイトゴールドケース/シルバー文字盤は他にも1984年に限定発売されたアポロ月面着陸25周年モデルのホワイトゴールドバージョン(シースルーバック・ロジウムメッキ)や、現行のムーンフェイズなどがあります。1984年の記念モデルは1980年の記念モデルと似ていますがインデックス形状やハンドが異なります。またクロノメーター仕様なのでその表記の有無も相違点。

   

   

   

 私が入手した文字盤の真贋は断定できませんが、アップライトのインデックスや秒針、積算系ダイヤルの仕上げなどを見ると1980年のWG用文字盤と全く同じ。ディテールの完成度から判断してオリジナルの可能性が高いように思います。またSpeedmasterの「r」の文字がこの頃までの旧書体であることも分りますね。※右は1984のWG限定モデル。「r」の文字を比べてみて下さい。

   

    

    

 文字盤の裏側です。干支足は Cal.861系に合致。1472という番号が印刷されていましたが部品番号でしょうか。

   

  

  

 この文字盤を使ってスピードマスターのカスタムを作ることにしました。まずはPCソフトを使ってシミュレーションです。

     

 現行のスピードマスターでバーチャル文字盤交換。1980年のWG限定“気どり”のカスタムです。ただし別に黒色のハンドを調達する必要があります。シルバー文字盤に白ハンドは明らかに合いません。

  

  

    

 こちらはファーストレプリカへの組込みを想定。スチールのアローハンドならシルバーの文字盤上でもそのまま使えるかもしれません。実際、1984年のWG限定はシルバー文字盤にシルバーハンドでした(ただしこちらはWGハンド)。

 

  

  

   

  

 ここで、違った角度からこのシルバー文字盤を検証します。同文字盤は一時期ebayやヤフーオークションなどでしばしば出品されていました。いずれの出品説明にも入手ルートの解説はありません。可能性として考えられるのは、スピードマスターの補修用のストックが流出したか、これらの文字盤が第三者によるリダン文字盤であるということ。実際、スピードマスターのリダン文字盤は多数出回っていると聞きます。

 今回入手した文字盤については、インデックスの特殊な仕様などから1980年WGモデルのオリジナル補修部品だと想像しています。ただし、この文字盤をレギュラーのスピードマスターや同時代の固体などに組込み「レア物」として売買されることはあるようです。実際、ネットオークション等で出品がありました。中にはレアモデルとして雑誌で紹介されることも。それらの説明は「ヨーロッパ地方で少数だけ販売された」「アメリカ限定モデル」「ファーストレプリカのプロトタイプ」などといったもの。どこかのショップカスタムの可能性はありますが、1980年のWG限定以外にオメガから公式にリリースされた記録はありません。

  

  

参考写真

参考写真
 ファーストレプリカに組込む場合が多いようです。はっきりいってカッコイイですね。このファーストレプリカ+シルバー文字盤の組み合わせはオークションの出品などで見かけることがあります。通常のプロフェッショナルに組込むには黒色ハンドの入手がネックになるのでこのパターンになるのかもしれません。

     

   

   

オリジナル

参考写真 1
 参考写真1はプロフェショナルに組込んでスピマス・オートマチック特殊モデル(マーク40など)のハンドを使っています。参考写真3ではプロフェッショナルとファーストレプリカ・ハンドの組み合わせ。いずれもオリジナルの黒色ハンド入手が困難なために色々と工夫をしているようです。

参考写真 2

参考写真 3

     

参考写真4
 これは海外の某所でホワイトゴールドケースとして販売されていたもの。一見、上で紹介した「1984年の限定WG」にも見えますが、インデックス形状や針の色、クロノメーター表記の有無を確認すると、文字盤は私が入手したのと同じ「1980年の限定WG」用のものであることが分ります。真相は分りませんが、カスタム品ではないでしょうか。ケース素材はホ−ルマークなどを見ないと判断がつきませんが、ステンレスケースをWGケースとして販売しているのならイケナイことです。ひょっとするとこういうモデルが実在したのかもしれませんが。

   

  

  

   

 私はあくまで1980年に記念発売されたWG記念モデル“気取り”のカスタムを目指すことにしました。他に必要なのは組込む固体と黒色ハンド。

 この作業に取りかかっているときに偶然、私と同じカスタムを作業中の“茶きサン”と出会いました。茶きサンのアドバイスで部品の調達もメドがつき、いよいよカスタムスタート。

 次章以降では茶きサンと私のカスタムレポートをそれぞれお届けします。

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