OMEGA CONSTELLATION Cal.564

このオメガ・コンステレーションは私の普段使いの時計です。Cal.564は日付早送り装置付。

この時計は前オーナーの方が修理をせず十年余り使い続けたため、相当ヒドク痛んでました・・・

そのへんもお話しましょう。

   

裏蓋もラインがたれています。かろうじて天文台でコンステと分る次第。

   

機械も普通に覘くと綺麗に見えますよね。ところが・・・・

それではローターを取り除くためネジと止め金具をハズしましょう。

    

ローター支柱真がありますよね、それがトンボの首のように磨り減っていました。

ローターが機械本体を擦っていたのです。今は交換していますが、擦り後は元には戻りません。

     

自動巻機構も取り除いてみましょう。これが機械内部の様子です。

いたってシンプルな内部。ところで良く見てください四番車の歯車が無いですね。

受けも薄いべラのようなもので止めてあるだけです。ここで一つ説明をしておきましょう。

秒針が衝撃などで外れた場合、ローターも外さず元の位置に止める事は出来ません。

この分解した所まで外し所定の道具を使い四番カナ車※固定し秒針を取り付ける※のです。

 各車には“歯車”と“カナ”と呼ばれる2つの歯車が存在します。通常の場合、歯車とは外周部分の“歯”の事を言い、カナとは軸の“歯”の部分を言います。(下の写真鉄道時計

 たとえば歯車の伝達は、一番真(香箱)にある歯車から2番車のカナに伝達され、2番車の歯車から3番車のカナへ、そして3番車の歯車から4番車のカナへと伝達され、4番車の歯車からガンギ車のカナへという具合。

 このオメガの場合、4番車には歯車が存在せずカナのみしか無いので、4番車とは言わず、4番カナ車と言います。

  

  

 さて、コンステに戻ります。この4番カナ車を止めているのは秒針カナ車押さえバネ※。名前の通りバネになっていますので秒針をそのまま押し込んでも固定出来ないのです。ですから修理時にはポンチと言う道具を用い秒針かな押さえバネを押さえ下にさがらぬようにして秒針を取り付けるのです。

 基本構造(鉄道時計を参考)では4番車からガンギ車に、そしてアンクルからテンプに力が伝達しますね。このオメガの場合3番車から枝別れしている構造なんですよ。画像を見て頂くと分ると思いますが、3番受にガンギ車との間に穴石があります。これはテンプに力を伝達するための車。このオメガの場合の名称は分りませんが、国産の同様な仕組みのものは5番車と言います。つまり3番車から表示機構へと伝達される構造と、テンプに伝達される駆動構造とに分かれています。

 ※秒針を取り付けるときに は四番車を固定する必要があります。秒針を取り付けるとき、受けも押さえもなければ秒針の取り付け出来ません。四番カナ車を所定の位置に入れ文字盤側に向け秒針を取り付けても四番車は逃げるだけ。

 四番真と秒針との関係で精密差の度合いで違ってきますが、1000分の1mmの誤差しか無いものには受側に当て台をしての作業が賢明でしょう。四番車に歯・カナの両方がある車の場合、ブリッジ受側はどうなっていますか? 四番真は穴石で押さえられていますよね。秒針差し込むと受側の穴石に圧力が当然かかります。その圧力が度を越したら穴石の破損につながるんです。そうならない為にも当て台は必要でしょう。

 秒針カナ車押さえバネ※

 秒針カナ押さえバネは、「秒針カナ車押さえ」「バネ」との二つの役目を合体させた部品(この場合の秒針とはハンドを指すのではなく四番カナ車のこと)。前者は秒針カナ車を外れないように止めているもの。後者は“あがき”(上下の遊び)をつくっているもの。もう1点書き添えると、秒針カナ押さえバネは穴石がありません。それでは穴石の役目は何処にあるかと言うと一番受けに有ります。もう一箇所は2番車のパイプの内側の一点に秒針カナ車の先端(秒針取り付け部)に近いところに、段(径の大きい所)があり、その二箇所で横あがきが無いようになっています。言葉で書くより現物で説明する方が簡単に分ると思うのでが。

 “あがき”とは、「ほぞ(車の真棒の先端が入る穴)」と、ほぞ穴の“はめ合い”。適否な縦あがきでないと文字板上下の姿勢差の原因になることがあります。適否という言葉もあやふやな言葉ですが、修理の数をこなして習得する部分ですね。

   

それでは自動巻機構の裏側もお見せしましょう。

   

そしてコレがローターの裏側です。あまり綺麗ではないですね。

   

全部品と機械内部の画像です。今回は自動巻機構のみの分解でした。

  

  

kuroさんの一言

 自動巻機構を取り除いた構造を見て、似ている機械があるのを分りますか? そうです、600系ですね。自動巻機構一式が入っていたところに一番受を大きくしたのがCal.600です・・・ということは、いい機械ですよ! どうです貴方も狙ってみてはいかがぁ〜(^^;

  

  

  

   

  

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