WALTHAM

 ウオルサム・ブレス一体腕時計、手巻き17石。ガラス風防が割れています。痛々しいですね。このようなキズがある場合、時計にかなりのショックがあったと考えるべき。内部に異常がありそうです。ケースはポコ。早速内部検証いたしましょう。

   

 ポコケースとはスナップ式に裏ブタを開けるタイプということ。この時計は文字盤の方向には機械を出せれませんから、裏蓋を開けると機械もそのまま出てきます。パッキンなどもありませんので非防水ですよ。水気に注意が肝要ですね。

    

 時針、分針を取り外してみました。異常な箇所があるのですが判りますか? そう良くご存知で! 文字盤の中心の穴から出ている傘車が中心にありませんよね。すこし見づらいかも知れませんが傘車には時針が差込まれています。その時針と文字盤とが干渉していて止まりになった可能性もありですよね。原因は落としたか、あるいは何処かにオモイッキリ当たったのかもしれません。

   

 これをご覧ください。文字盤には一般的にこのような足があります。文字盤を横から見ると足は垂直になっているものなのですが、これはヒドク曲がっていますでしょ。この足を修正する事によって文字盤の傘車は穴の中心になるはず。職人手腕がよければ(^^;;

   

 文字盤の裏面はこんな感じ。ひとところ、円形のクボミがありますが、ここは天真の受石を逃がすために加工をされているのです、、、確か!そうだと?(^^;;

    

 機械の横にあるのは上から剣座、時針、短針、傘車、、、

   

 何処かで見たことのアル機械?と思ってたら、「なかひろ時計館」の常連「らいちんサン」が教えてくれました。ノモスにも使われているCal.7001だそうですよ!!

   

 テンプとアンクルを取り外してみました。輪列の歯車も異常はなさそう。内部も点検したところ他の箇所にも異常は見当たりませんでした。

   

 キャリバーの刻印はどこだぁ? 所定の位置になく2番歯車の下にありました。デジカメ撮り方ヘタですから見にくくすみません。(^^;;

  

Peseux7001 エボーシュマークにPの文字

 

    

 文字盤の足を修正して元に戻してみました。上手いこと出来たつもりですがこんなところでご勘弁を(^^:: 時針と文字盤とが干渉しないだけではホントはダメなのですよ。時針も短針も12時間回転しますでしょ。時刻を指す時、違ったところを指す位置があるのです。穴の中心に時、短針があって始めて12時間狂わずに時刻を知らせてくれるのです。ちょっと難しかったかな?(^^;;

   

 すべての部品を組み込みました。結果良好! 時間精度もバッチリ、、とは言っても秒針が無いですから目で判ればいいかなと(笑)

   

組立終了です。ガラスが痛々しいですがそのうち何とかしましょう。

   
   
   
kuroさんの一言

 日頃より愛情を持って時計とお付き合いしませんか。このウオルサムのようにキズつけたりする行為をするとその代償は大きいものだと思いますよ。部品供給できるうちはイイですが在庫が無くなっている場合は別作となりそう。そうなるとケースを別作していただく会社に送らなければなりません。余分な送料、保険代も要りますね。“命あるモノ”にいたわりを。大事に使用すれば一生、あなたと共に生きていけると思います。

  

  

  

   

  

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