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オメガのコンステレーション。ケースは金無垢(イエローゴールド)、文字盤も18金です。 コンステレーションは「星座」のこと。6時位置の「星」、裏蓋上の「天文台と星座」マークが同シリーズのアイコンです。コンステレーションはオメガのフラグシップライン。現在ではスポーツウォッチばかりがクローズアップされるオメガですが、特にクオーツ登場以前は「精度」こそが絶対的な品質との理念を持った同社を代表する最高級モデルでした。 2002.1.12 update |
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ヴィンテージ(アンティーク)・オメガは機械に刻印されているムーブメントナンバーと裏蓋にあるリファレンスナンバーから時計の素性を知ることができます。 オメガからのメールの抜粋が以下。この時計はコンステレーションの" C-line "というシリーズ。1966年8月12日にアメリカの正規代理店に納品された時計のようです。 * OMEGA - Constellation " C-line " - gents wirst watch ( C- becauseis reminds the shape of the case ! ) |
ムーブメントの刻印番号 | 製造年代 |
1,999,999まで | 1902(一部1916)年まで |
2,999,999まで | 1908(一部1919)年まで |
3,999,999まで | 1912(一部1919)年まで |
4,999,999まで | 1916(一部1927)年まで |
5,999,999まで | 1923(一部1927)年まで |
6,999,999まで | 1929(一部1935)年まで |
7,999,999まで | 1935(一部1941)年まで |
8,999,999まで | 1939(一部1944)年まで |
9,999,999まで | 1944(一部1950)年まで |
10,999,999まで | 1947(一部1951)年まで |
11,999,999まで | 1950(一部1953)年まで |
12,999,999まで | 1952(一部1955)年まで |
13,999,999まで | 1954(一部1957)年まで |
14,999,999まで | 1956(一部1958)年まで |
15,999,999まで | 1958(一部1962)年まで |
16,999,999まで | 1961 |
17,999,999まで | 1961(一部1963)年まで |
18,999,999まで | 1963(一部1964)年まで |
19,999,999まで | 1963 |
20,999,999まで | 1964(一部1967)年まで |
21,999,999まで | 1965(一部1966)年まで |
22,999,999まで | 1966(一部1969)年まで |
23,999,999まで | 1968 |
24,999,999まで | 1967(一部1969)年まで |
25,999,999まで | 1969 |
26,999,999まで | 1968(一部1970)年まで |
27,999,999まで | 1969(一部1970)年まで |
28,999,999まで | 1969(一部1970)年まで |
クロノメータの語源はギリシャ語で「時間を計測する」という意味を持つようです。もともとは英国王室認定の高精度航海時計をクロノメーターと呼びました。18世紀の大航海時代には正確な時間と星座の位置を計算し、船舶の位置(緯度・経度)を把握。高精度の時計が少なかった当時、重要な国家事業である海洋航海には“高精度の時計”とそれを“認定する権威”が求められていたようです。今でも「マリーン・クロノメーター」という名称で船舶搭載用の航海時計が存在しますし、廃船に搭載されていたクロノメーターもアンティークウォッチ市場では人気があります。
また一般的に知られているのはムーブメント検定規格としてのクロノメーター。19世紀より時計の品質向上を目的に検査が行われてきました。検定は必ずしも市販用の時計機械が対象ではありません。当初は製品化前の基礎キャリバーを検定しその精度を確認することがほとんどだったようです。その検査機関が天文台に置かれることが多かったようで、スイスの「ニューシャテル天文台」(1866〜1975に実施)「ジュネーブ天文台」(1872〜1967に実施)は有名。クロノメーター検定を受けた初めての腕時計用機械はオメガの30ミリキャリバー。1941年に「ニューシャテル天文台」で検定を受けています。 ※(「ニューシャテル」は「ヌーシャテル」とも発音します) 2つの天文台以外にも検定機関はありました。「スイス・クロノメーター検定局/B.O.」という公的機関が市販用時計の検定基準を取り決めます。その認可の下でスイス各地で検定が実施。ジュネーブ、ビエンヌ、ソレール、ラ・ショー・ド・フォン、サンティミエ、ル・ロックル、ル・サンティエなどで行われたこの検定は、共通の検定基準を持ちながら、各検定所独自の裁量も多く、緩やかな検定が実施されていたようです。天文台の検定とはその厳格さに大きな開きがありました。こういった状況を是正、統一規格を作るため検定機関は1951年に「スイスクロノメーター検定機関」へ統合されます。 同機関の公認機関としてスイス以外の国でもクロノメーター検定が実施されるようになりました。フランスの「ブザンソン天文台」、アメリカの「ワシントンの海軍観測所」、イギリスの「キュー・テディ ントン天文台(国立物理研究所)」、ドイツの「ハンブルグ水路協会」などが検定を実施します。日本には「国際クロノメーター検定協会(管理委員会)」に公認された「日本クロノメーター検定協会」がありました。 「日本クロノメーター検定協会」が先の国際機関に認定、設立されたのは1968年。84年に解散するまで、国際機関から検査を公式委託されるという形で日本国内でクロノメーター検査を行いました。1968年以前に発売された国産メーカーの時計の中にも「Chronometer」表記のあるものがありますが、いずれも「国際規格」を参考に各社が独自認定したものです。これには国際機関からクレームがあったということ。なお、文字盤の「CHRONOMETER」という表記に「OFFICIAL CERTIFIED」と併記されているものは、『公式機関検定品』と考えて間違いありません(ただし公式機関の検定を受けてもOFFICIAL CERTIFIEDと明記しない製品もあります)。また、グランドセイコーなどは、ある時期よりクロノメーター規格より厳しい「GS規格」を独自に設けたことから、「CHRONOMETER」規格の取得には積極的ではなかったようです。 この「日本クロノメーター検定協会」では1968年にセイコーの製造部門「第二精工舎(亀戸)」が国産初のクロノメーター公式認定を受けています。後年「第二精工舎(亀戸)」は本場「ニューシャテル天文台」でも検定を受ける機会を得ます(※↓)。ここで合格した機械を搭載した時計が45GS-V.F.A(亀戸製)として販売されました。 複数の公認検定所で行われてきた規格検定は、1973年から、現在の「スイスクロノメーター検定協会C.O.S.C(Controle Officiel Suisse des Chronometer)」に集約されはじめ現在にいたっています。これ以降はC.O.S.Cのみが同検定を実施。検定内容はムーブメントの大きさ別に姿勢差、温度差の測定を行い、規定の許容内の誤差であれば合格となり証明書が与えられます。合格した多くの時計は文字盤にChronometerの表記を入れています。ちなみに検定はケーシングされた完成品ではなく機械のみを持ち込み実施。現在は200ドル程度の検定費が必要とのこと。
またコンクールとしてのクロノメーターも存在しました。一般的に「クロノメーター・コンクール」として知られます。定められた規格をクリアする“絶対評価”の検定とは異なり「コンクール」は参加した時計機械に優劣をつける“相対評価”。これはスイスの「ニューシャテル天文台」「ジュネーブ天文台」イギリスの「キュー・テディ ントン天文台」などで開催されたので通称「天文台コンクール」とも言われます。コンクールのスタートは1860年頃。いずれもスイス製時計のみを対象としていましたが1959年に国外のメーカーにも門戸を開きました。日本メーカーの雄「セイコー」の製造部門である「諏訪精工舎」は1963年より「ニューシャテル天文台」のコンクールに参加。もう一方の製造部門「第二精工舎(亀戸)」も1964年より参加を開始します。これは当時のロンジンの社長の勧めにより実現したと言われています。当初はコンクールで全く入賞のかなわなかった諏訪精工舎/第ニ精工舎の時計機械でしたが、1967年のコンクールにおいて第ニ精工舎の機械が第二位を、諏訪精工舎の機械が第三位を取得。腕時計部門の機械式時計についても4、5、7、8位をセイコーが占めました(10位以内の残りはオメガ)。スイス製時計の威信を失った形となった「ニューシャテル天文台」のコンクールは翌年中止に。1969年に市販品を対象とし再開をはかりましたが、結局この年でコンクールは終了となります。 この1年限りの市販品対象ニューシャテル天文台クロノメーターコンクール(※↑)には、セイコー45GSを特別調整した機械がエントリー。順位に関わらず、事前検定に合格した73個の機械がケーシングされ市販されました。通称“天クロ”GS(45GS-V.F.A)。天文台の合格証明書がついています。 機械式時計のみをコンクールの対象にしていた「ジュネーブ天文台」は1968年よりクオーツも対象に加えるようになりました。このことで「諏訪精工舎」は「ジュネーブ天文台」のコンクールへ参加を開始します。
オメガは1940年代から70年代まで圧倒的な数の機械をクロノメーター検定に送り込み、断然優秀な結果を残してきました。C.O.S.Cの検定になって以降は、検定個数こそロレックスに抜かれますが、遜色のない個数と優秀な結果を出し続けています。 ここで紹介しているオメガのクロノメーターですが、cal.561は1959年に開発された機械ですのでC.O.S.C検定以前のものです。検定は「スイス・クロノメーター検定局/B.O.」。コンステレーションの裏蓋には天文台マークがあるので、同シリーズは天文台において検定された機械を搭載しているものと誤解されそうですが、天文台で検定を受けたということではありません。この天文台マークは単にモデル銘「コンステレーション(星座)」のイメージではないでしょうか。また当時の天文台コンクールで圧倒的に優秀な成績を残したオメガの実績を誇示しているのかもしれませんね。 天文台にて検定を受けた機械が搭載された市販時計は非常に限られています。オメガでは1976年に「ニューシャテル天文台」における検定合格機械を搭載したクオーツ腕時計「メガクォーツ・マリーンクロノメーター」が有名。70年代になっても天文台における検定とその機械を一般製品にケースすることは特別なことで、天文台コンクールの常勝メーカーであったオメガですら市販品にその天文台での検定機械が積まれることは稀だったようです。 |
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全回転式自動巻コンステレーションが初リリースされたのは1957年。片方向巻き上げのCal.505が搭載されました。1959年には両方向巻上げのCal.551 /561を開発。幾つかのケースに搭載されリリースされます。振動数は19800BPH(毎秒5.5振動)石数24。Cal.551はCal.550を多石化してクロノメーター規格にした機械。カレンダーを付けたのがCal.561です 1969年には次世代のコンステ専用機械Cal.1001をリリース。28800BPH(8振動)に高速化されたCal.1000(石数17)をベースにクロノメーター規格を持たせたもの。石数は20になります。 これらのCal.551、561、Cal.1001の3機はコンステだけに搭載された専用機です。※ |
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コンステ専用機ではありませんが有名なのはCal.1011(曜日付は1021)。Cal.1001をサイズアップしたクロノメーター機械です。70年代の自動巻コンステレーションに数多く搭載されました。 今回紹介したコンステと似た形状のケースでも70年代にリリースされたものにはCal.1011 が積まれていることが多いようです。 他にクロノメーター自動巻にはCal.564(CAL.561に日付早送り装置付加)、Cal.1021(Cal.1011に曜日表示を付加)などがあります。いずれもコンステ専用機械ではありませんが、クロノメータ規格を取得しています。 ※『AUTOMATIC Wristwatches』 Schiffer社参照 |