Pulsar Time-Computer Calculator

  

  

  

    

  

  

 パルサーのタイム・コンピューターです。1976年のバーゼルフェアで発表された初代モデルに次ぐ2代目。翌年の1977年に同フェアで発表、発売されました。初代とはサイズとブレスの形状が若干異なりすが見た目はほとんど変わりません。機能面ではオートコマンドシステムが搭載されました(下で解説)。初代モデルについてはUTさんのサイト「ANTIQUE & MODERN WRISTWATCH」で詳しく解説されています。タイム・コンピューターは電卓機能を持ったLEDウォッチ。付属の専用ペンを使い電卓ボタンをプッシュして使用します。四則計算が可能で、計算の答えはメモリーに保存できる優れモノ。

 ヴィンテージウォッチ市場において、パルサーはLED/light-emitting diodes(発光ダイオード)ウォッチの代名詞的存在です。もともとパルサーはハミルトンのサブブランドでした。パルサー名のLEDウォッチは1971年の初代モデルリリース以来、多種多様なデザインの時計が発売されています。パルサーのネーミングはパルス電波からきているとのこと。ただしLEDとパルス電波は関係ありません。

 ハミルトンはアメリカ人資本のメーカーでしたが、1971年11月6日にスイスのSSIHグループ(現在のスウォッチ・グループ)に買収されてしまいました。パルサーの初号機の発売が1971年のクリスマス直前でしたのでパルサーを販売したハミルトンはスイスのSSIHグループだったわけです。ただしハミルトンの買収とパルサー発売時期がほとんど同時期ですのでLEDウォッチ・パルサーの計画はアメリカ人資本時代の下で行われたのでしょう。パルサーから当時のアメリカの“におい”がするのはそのためかもしれません。1979年になるとセイコーがSSIHグループから『PULSAR』ブランドを買収。それ以降パルサーはセイコーの欧米向けブランドの一つとなっています。日本を含むアジア地域で『ALBA』名で販売されている時計が欧米では『PULSAR』名で販売されています。詳しくはこちらをご覧下さい。

 機能もさることながら素晴らしいプロダクトデザインです。その新鮮は今見て失われていません。ソリッドなステンケースはとても重厚。耐振設計も万全で時計自重の2500倍のショックにも耐えるそうです。一体感のあるベルトと相まってスペーシーな雰囲気も漂います。また赤いLEDのデジタル表示は液晶デジタル表示にはない美しさ。暗闇でも時間確認が容易です。

 製造中止から20年以上も経過したパルサーですがファンやコレクターの数は多く、特殊ウォッチのコレクトアイテムとしてはアキュトロン・スペースビューと双璧。2002年のバーゼルフェアではハミルトンから復刻モデルが発表されました。ただしこちらは液晶表示の時計です。またPULSARブランドはセイコーが所有していますのでHAMILTONブランドでの復刻になりました。

 参考「デジタル・ウォッチ大図鑑」グリーンアロー出版社/「Wristwatches」KONEMANN

    

  

  

  

  

  

  

  

  

Pulsarと刻印のあるボタンを押すと時間を表示します。

  

  

  

専用ペンの一方からはプッシュ用のプラスチック棒が出てきます。

  

  

  

  

  

  

ボタン電池を4つも使用します。

  

  

   

オートコマンドシステム

腕をなめらかな動きで振ると自動で時刻(1.25秒間)が表示されます。

ガラス管に入った1滴の水銀がガラス管の両端に取り付けられた2本の電極を繋ぐ仕組み。

  

  

2002年バーゼルフェアでハミルトンから発表された復刻モデル