セイコーの「LCクロノグラフ」。世界初のクロノグラフ付きデジタル腕時計です。デッドストックを入手することができました。LCはセイコーが展開した初期のデジタル腕時計ラインです。セイコー(第二精工舎製)が液晶表示のデジタル腕時計を初リリースしたのが1973年。このLCクロノグラフは2年後の1975年6月10日に(諏訪精工舎から)発表されました。クオーツの機能とデジタル表示の可能性をフルに活用、機械式クロノグラフでは困難な多くの機能を実現しています。1/10秒計、60分積算計、ラップタイム測定機能を装備。さらに暗闇でも時間が確認できる内部照明装置も備えています。デジタル表示からして革新的だった時代に、さらに付加された数々の機能は当時大きな衝撃でした。腕時計史においてもエポックメイキングな製品であることは間違いありません。定価55000円は非常に高額でしたが(当時の大卒初任給83600円)ヒット商品となり高セールスを記録した腕時計だったようです。 さらに特筆すべきはその優れたデザインです。初期の液晶デジタル腕時計は機械構造が大きく、ケーシングには色々と工夫が必要でした。このLCはケースに“面”を多用して大きさを感じさせたないデザインを完成させています。当時は薄型の腕時計がトレンドでしたので非常に苦労した部分であったかもしれません。そんな制約の中でも、ケースからデジタル表示の窓まで六角計をベースに独創的で未来的な雰囲気に仕上げています。デジタル表示自体が目新しい“デザイン”だった時代ですから当時は非常に斬新なデザインだったことでしょう。クロノグラフ操作に使用する正面の丸型ボタンもアクセントとなっており正面からの表情を引き締めています。ステンレス無垢を使用したケースやベルトが発する高級感も申し分ありません。2004.2 update |