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エプソンのクロノビットです。2000年に発売されましたが、現在は製造中止となっています。クロノビットは腕時計型PDA(Personal Digital Assistants)。エプソンでは「リストモバイル」と呼んでいます。SIIの「ウェアラブルPC」ラピュータに似た機能を持ちますが、発売時期が遅い分、クロノビットのほうが高性能です。諏訪精工舎と第二精工舎が、エプソンとSIIに名前を変えてもなお、同種の商品を出し競合しているのを興味深く感じます(両社の関係)。 機能は説明しきれないほどですが、主要なものとしては、アドレス管理、メモ帳利用、スケジュール管理、ToDo管理、電卓、世界時計、タイマーなど。エプソンから提供される各種ソフトをダウンロードすれば機能はさらに拡張します。また一般ユーザーがソフトを提供することも可能で、クロノビット専用ソフトウェアライブラリサイトからは一般ユーザーが作ったゲームなどを無料でダウンロード可能。 ベゼルを回してボタンを押すことで文字入力ができるのも、ありそうでなかったアイデア。機能とデザインとの融合も見事です。キーボードに比べれば手間はかかりますが、リストウォッチスタイルとしては効率的なアプローチと言えそう。クロノビットとパソコンをシンクロさせるためには「シリアルポート」を経由させるのですが、クロノビットをシリアルポートに置くだけ。クロノビット本体に金属端子はありません。 電源は充電式リチウムイオン2次電池で、本体に内蔵した電磁誘導コイルを使って充電。これまた本体をシリアルポートに置くだけなので手間がありません。標準使用で約3週間、時計表示のみなら約2ヶ月の動作が可能。電源のON/OFFは一切必要なく、24時間常に稼動します。充電もパソコンとのシンクロも電磁波を使います。金属端子等の接点を持たせないことで生活防水仕様とした点も評価できそうですね。 スケジュール、ToDoリスト、アドレス帳のデータは、パソコンのPIMアプリケーション(Microsoft Outlook2000/98/97・ロータスノーツR5/R4.6・ロータスオーガナイザー2000)とシンクロするので、上記のソフトに慣れていれば作業は簡単。添付の時計画面作成ソフト「時計職人」により、「クロノビット」の時計画面を自由に作成できるのもこの「メカ」の魅力でしょうか。 スケジュールなどで設定されるアラームは、本体内蔵の超小型振動モータの振動で知らせるので、周囲に迷惑をかけずに使うことが可能です。 ステンレスケースは『CREDOR』シリーズなどを手掛ける“熟練した”作業者が一つ一つ手作業で丁寧に造り込んだとのこと。ケースの造型、質感に安っぽさはありません。メカメカしていないデザインには好感が持てますし、ラピュータに比べれば腕時計としてのデザインを重視しており、普段使いに抵抗感はありません。定価5万9,800円に照らしても価値ある“腕時計”です。 細かな部分ですが、ユーザーが簡単にベルトの長さを調整できたり、ベルトのコマの追加・取り外しができる調整金具まで付属していました。2002.10 update |
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