SEIKO 5sports  speed timer

     

  

  

  

   

   

   

 1970年代のセイコークロノグラフ「スピードタイマー」。内転式ベゼルを装備しており、竜頭で回転させることができます。曜日は竜頭を押し込むことでクイックチェンジ。日本語表記と英語表記が交互に表示され選択できます。日付は竜頭を1段引出し回転してチェンジ。赤い針はクロノ計測用ですので秒針はありません。

 裏蓋の数字表記は142620 7017-6040。1971年4月製造、ケース番号2620。cal.7017で文字盤外径26ミリ、初号機から4番目のモデルであることが分かります。裏蓋の数字表記の読み方はこちらをご覧下さい。

 1970年代のセイコークロノグラフは諏訪工場の61系と、今回紹介する亀戸工場の70系に大別できます。以下で機械の比較も行ってみました。 2002.1 update

    

     

     

   

    

   

  

   

 この自動巻は両方向巻上げのマジックレバー方式です。ローターに矢印マークが見られますがローターの巻上げ方向を示しているわけではありません。この矢印部分と一番伝え車の○部分(右の写真/ローター右側小さなマル)を合わせた状態でローター中央のネジを締めることで、ローターと伝え車のスリップを防げることを示しています。

「セイコー自動巻2」トンボ出版 参考

  

  

   

  JISにクロノグラフ機構の例としてcal.70系の分解図(クロノ部)が掲載されていました。

JISにおけるピラーホイールの部品名称は「作動カム」のようです。

つめレバーとあるのがセイコー独自のマジックレバー。ローターの両回転を一方向に整流します。巻上車を介して

前後にピコピコ動きます。この動きが二番車では一方向の回転になる素晴らしい発想

『JIS B 7010 時計部品名称』(日本規格協会発行) P39 より

   

   

   

亀戸製 cal.7017

諏訪製 cal.6139

 cal.7017とcal.6139と比較しました。cal.6139はピラーホイールをはじめクロノグラフ機構を裏蓋を開けた状態で観察できます。cal.7017はブリッジに隠れて観察することができません。ただしこちらもピラーホイール式です。振動数は共に21600回/時(6振動/秒)。cal.6139についてはこちらで詳しく紹介しています。

  

    

  

    

  

第二精工舎(亀戸工場)と諏訪精工舎

第二精工舎(亀戸)マーク

諏訪セイコーマーク
 セイコーの古い時計について調べていると「第二精工舎(亀戸)」「諏訪精工舎」という言葉がよく出てきます。時計の文字盤や裏蓋上に上のようなマークを見ることがありますが、これらは製造された工場(会社)のマーク。この両工場の関係をセイコーの歴史から調べてみました。

  

     

 上記の諏訪、亀戸マーク以外に左のマークを文字盤に見ることがあります。所有するスクールタイムにこのマークがありました。この件をセイコー時計資料館に問い合わせたところ以下の説明を頂きました。

 「当時は クレストマ-クといって 既にご存知かもしれませんが、諏訪精工舎で作られたものと 第二精工舎で作れられた物を区別するマ-クがありました。 それ以外に 両工場で使えるマ-クでかつ 物品税を納める必要の無い 1万円以下の製品にこのマ-クを使用していたとの事です。ですから どこの工場だけに使用されたと言う事ではなく 当時 トモニ-なりスク-ルタイムなり1969年からの低価格帯のブランドを作っていた工場 諏訪精工舎系列 もしくは第二精工舎系列のどちらの工場でもこのマ-クは使用していたものと思われます。」 セイコー時計資料館

  

 

販売部門

製作部門
1877 銀座に服部時計修繕所 開設  
1881

服部時計店と名を代えて創業

外国製時計の卸と小売り

 
1892  

墨田区に製造工場として精工舎を設立

服部時計店直営の製造会社 掛時計を製造をスタート

1895 服部時計店が現在の「和光」のある銀座4丁目に店鋪を移転 精工舎が懐中時計の生産を開始
1913   精工舎が腕時計の生産を開始
1917 会社組織となる  
1932 服部時計店が現在の「和光」の建物(時計台)を竣工  
1937  

精工舎(部門)

掛時計、置時計を製造する服部時計店の製造部門として存続      

第二精工舎(会社)が設立

精工舎の腕時計、懐中部門が独立した格好。工場は亀戸に。        

 
1942     大和工業(長野県諏訪)内に戦時中の疎開協力工場を設置   
1947 小売部門を分離し和光設立      
1959      

諏訪精工舎(会社)が長野県諏訪に設立

大和工業が母体

1961      

精密機器を製造する信州精器が諏訪精工舎を母体に独立

諏訪精工舎は存続

1970   会社組織として服部時計店から完全分離    
1982       信州精器がエプソンに社名変更
1983 服部セイコーに社名変更   セイコー電子工業に社名変更  
1985       諏訪精工舎とエプソンが合併してセイコーエプソン設立
1986 (バーゼルフェア初参加)      
1993 (全国のセイコー販売会社7社を統合してセイコー販売を設立)      
1996   セイコークロックセイコープレシジョンに分離    
1997

セイコーに社名変更

(セイコー販売会社はセイコーウォッチ販売に社名変更)

  セイコーインスツルメンツに社名変更  
2001

持株会社のセイコー

と腕時計部門のセイコーウォッチに分離 販社のセイコーウォチは同社に合流

     

  

 現在、セイコーの腕時計はセイコーインスツルメンツ、セイコーエプソンの工場で生産されていますが、国内生産はセイコーエプソンの諏訪工場に集約されはじめているとのこと。他にも関連する海外工場で生産された時計もあるようです。海外生産のセイコー製時計についてはこちらで考察しています。