SEIKO ELECTRONIC EL-370

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

 セイコーのエレクトロニックです。デッドストック(NOS)を入手しました。電池を駆動源にテンプを動かす方式。電子時計などと呼ばれていました。先に紹介している日付・曜日付モデルと基本構造は一緒。

 1970年代から見た「未来」プンプンのデザインです。オーバルケースに黒文字盤は今見てもカッコイイですね。付属の取扱説明書を見ると、SEIKOがクオーツ時計を完成させたことを高らかにうたっていますが、これは電子時計。クオーツが非常に高価だった時代に、毎日のゼンマイ巻上げから開放することを主眼にした時計だったのでしょう。もちろん電池を使うことで安定したテンプ回転が得られますから、ゼンマイ時計の振角変化による進み・遅れは解消できました。既存の機械式時計に比べて高い精度が得られたことは間違いありません。 2002.9 update

    

    

  

1971年5月製造 裏蓋数字の読み方はこちら

  

   

Cal.37A 21600回転/時 6振動/秒

   

  

  

 時計師kuroさんから貴重な情報を頂きました。

 この時計はテンプについている永久磁石とコイルに発生した磁気とが反発しあってテンプを回転させる作動原理です。普通のゼンマイ式の場合は・・・・ゼンマイ→輪列→ガンギ車→アンクルと力が伝達されますよね。このような時計の脱進機を皆さんご存知の通り、正脱進機または単に脱進機と言います。電池式には輪列を力で回すことは出来ないので・・・電池→電子回路→駆動コイル→テンプ→アンクル→ガンギ車→輪列と力を伝えるところから逆脱進機と言われました。テンプからアンクルと伝えるためアンクルには白金コバルト磁石が使われていたと記憶しています。当時は高価だったのですがEL-370に使われているはずです。

 

この時計の分解掃除の目安は簡単な方法で分るんですよ。まずはリュウズを通常位置にします。そして電池を外して文字板を下にし、手でテン輪を180度回転させ手を離します。10秒以上動いていたら正常、10秒以下でしたら機械内部の点検となります。