FAVRE LEUBA MEMO RAIDER

  

  

     

  

  

 ファーブル・ルーバの自動巻アラームウォッチ。『バーゼル時計年間』(ワールドフォトプレス)によると1972年のバーゼルフェアで発表されたモデルのようです。

 とにかくデカくてズッシリしているこの時計、ラグ(ベルト幅)は24ミリもあります。右上のリューズでアラームのゼンマイを巻き上げる。1段引き上げてアラーム時間をセット、再び押し戻してアラームがオンの状態です。下のリューズは時間と日付けセット用。手巻き兼用ではありません。

 30年前の時計ですが随分と斬新なデザインです。竜頭には砂時計をモチーフとした同社のマークが入るなど、凝った意匠や質の良いステンケースに上品さも漂います。

 この時計は裏蓋を開けることに大変苦労しました。独特な14角スクリューバック。側面が浅く、また相当きつく絞められていたのか所有するオープナーでは横滑りしてしまい開けることができません。東急ハンズなどに行き店員に相談するも「難しい」の返事。ほとんど諦めかけていたときに掲示板でこの話題に触れたところ思わぬ“助け舟”が。ある時計店の方から、裏蓋を開けてくれるとの嬉しいお申し出を頂きました。 2001.11 update

    

  

  

  

  

  

  

  

  

   

    

   

  

    

 特徴的なローター。中央の穴から二番車のルビー(穴石)が見えるデザインです。テンプにはキャリバーナンバーの917の数字がありました。

 

 アラームがなる仕組みは手巻きアラームウォッチのヴァルカンのクリケットなどとほとんど一緒です。写真右上にあるアラームハンマーがアラーム用ゼンマイの動力によって震え、ケース側面にあたりアラーム音を発する。ヴァルカンのような裏蓋の突起物はありません。またケースもヴァルカンに見られるような二重構造ではありませんでした。

  

  

  

(参考写真)
 ファーブル・ルーバは基本的に機械を自社製造してきた時計メーカーです。ただし同社のクロノグラフなどはエボーシュ(時計機械製造メーカー)のValjouxから機械の提供を受けています。この自動巻アラーム機械について調べてみると、こちらも自社製ではなくジャガー・ルクルトから提供されたものでした。同社はアラームウォッチを得意としてきたメーカー。下の画像比較で全く同じ機械であることが分かりますね。ルクルトcal.916の開発は1969年、28800振動(秒8振動)17石のマシーン。一方、所有するファーブル・ルーバの機械には917のキャリバーナンバーが刻まれていました。

Jaegar Le Coulte cal.916(参考写真)

FAVRE LEUBA cal.917

     

   

 1日で5分程度遅れていたので、裏蓋を開けて頂いた際に歩度調整してもらいました。専用の機械(タイムグラファー)から紙に打ち出されるラインを見ながら調整するようです。このラインは左から右に向かって進んでいます。左のほうではラインは右上がりですが、これは“遅れ”を表している。右下がりは“進み”で、このラインが水平なるように時計の緩急機で歩度調整します。この機械は振動数もはじき出します。時計が28800振動(秒8振動)が確認できました。