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白文字盤のクロノグラフは見た目が爽やかですね。1970年中頃にリリースされたセイコーのクロノグラフ。30年近く昔のクロノグラフですがデザインに全く古さを感じません。 下のダイヤルは30分積算計。秒針はありません。曜日付のカレンダーを搭載。竜頭を押すことで日付のクイックチェンジが可能です。曜日表示は英語表記とローマ字表記のチェンジができました。 諏訪精工舎(当時)の製造。搭載されているcal.6139はセイコー初(日本メーカー初)の自動巻クロノグラフ機械。1969年から、同社がリリースする(1つ目)自動巻クロノグラフに搭載されていきます。 1969年と言えば、世界初の自動巻クロノグラフ機械である「クロノマチック」が発表された年です。「クロノマチック」はHeuer/ Breitling/ Hamilton/ Dubois Deprazが連合で開発に成功した機械。また現在、エルプリメロとして知られる「cal.3019 PHC」が Movado/ Zenithからリリースされたのも1969年でした。ただし「クロノマチック/cal.11」の発表が同年4月のバーゼルフェアに間に合ったことから“世界初の自動巻クロノグラフ”の栄冠を手に入れたようです。「cal.3019 PHC」は同年秋頃に正式発表されたとのこと。セイコーは当時、バーゼルフェアに参加していませんでした。したがって、世界的に見てセイコーcal.6139が「世界で何番目に開発されたクロノグラフ」といった対象にはなりにくいようですね。いずれにしても1969年は自動巻クロノグラフのリリースラッシュの年でした。 2001.9 update |
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独特なケース形状はオメガのスピードマスターMK3にも似ています。一見、非常にデカ厚に見えますが、ケース本体部分はそれほど厚くなく、わん曲したラグ部が腕に気持ち良くフィットする感じです。 |
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スタート(ボタン押す) スタートボタンと連動したオペレーティングレバーがピラー下段にある歯を上方向に押し上げ、ピラーは時計回りに回転。写真では少し見えづらいのですが、カップリングクラッチ(SEIKOのKの下あたり)先のツメがピラーの谷に落ちます。残念ながらドライビングホイールなどはローター機構の陰になって見ることができませんでした。 リセットボタンと連動しているツメがピラー右下の山部分に乗っています。これがブレーキの役割を果たし、クロノ動作時はリセットボタンは機能しません。※ |
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スタート(ボタン離す) オペレーティングレバーが次の動作に備えます。写真では見えづらいのですが、オペレーティングレバー先のツメはピラー下の階にある歯に噛んでおり(上のピラー拡大写真参照)、ボタンを押した際に噛んでいた歯より一つ左の歯に移動して新たに噛み合います。 この動作によってピラー式のクロノグラフはボタンを離す際にも“カチッ”という感触を得ます。この際にはピラーは回転しません(カップリングクラッチツメはピラーの谷に落ちたまま)。 |
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ストップ(ボタン押す) オペレーティングレバーとピラーホイールの動きは“スタート(ボタン押す)”と同じ。ただしピラーホイールの歯の位置がスタートの際とずれているので、カップリングクラッチ先のツメがピラーの山に乗ります。スタートの際にSEIKOのKの下あたりあったカップリングクラッチ先のツメが見えなくなっているのが分かりますか? リセットボタンと連動しているツメがピラー右下の谷の上にあるのでクロノ停止時にはリセットボタンが機能します。※ |
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ストップ(ボタン離す) オペレーティングレバーとピラーホイールの動きは“スタート(ボタン離す)”と同じ。 この動作の際にはピラーは回転しません(カップリングクラッチツメはピラーの山に乗ったまま)。 |
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リセット(ボタン押す) リセットボタンと連動してハートカムを叩き、クロノグラフ針と積算針をリセットします。これもオートマチック機構に隠れてみえません。 リセットボタンと連動しているツメがピラー右下の谷部分に綺麗にはまっているのが分かりますね。 |
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リセット(ボタン離す) これで次回スタートのスタンバイ完了。 ※この機械のリセット機構については複雑な仕組みを持っています。クロノ起動時にリセットボタンを押すとスルッと“空振り”する感触を得ます。これはリセットボタンと連動したピラー真下の“ツメ”(ピラーの拡大写真参照)がピラーの谷に向かって落ちるからです。リセット時に感じる“抵抗感”はこのツメがピラーの山部分にあたっているから。この抵抗があって初めて“リセット(ボタン押す)”の動作に連動します。厳密に言えばリセット時に「二段階」の動作が発生しています。 |