IWC(インターナショナル・ウォッチ・カンパニー)のオーバルケース。搭載される機械は1964年に開発された同社Cal.8541の派生機械Cal.8541B。IWC独自の巻上げ方式であるペラトン式の最晩期機械で、ハック機能と日付早送り機能が付加されています。 IWCは1868年、スイスのシャフハウゼンにて創業されました。IWCの文字盤の多くにはSHAFFHAUSENと記されています。アメリカ生まれの時計師が設立した時計メーカーとのことです。 ペラトン式と呼ばれる自動巻機構は1950年代に同社のアルバート・ペラトンによって開発されました。同機構を持つ最初の自動巻機械はCal.85。その後は85XXというCal.ナンバー展開で派生機械がリリースされていきます。70年代のクオーツショックを境にIWCの自社製機械は姿を消し、1980〜90年代にかけてはジャガールクルトやETAから自動巻機械の供給を受けていました。しかし2000年のバーゼルフェアにおいて約30年ぶりに自社製自動巻キャリバーCal.5000を発表。数十年の時を経て、あらためてペラトン式が採用されました。 ここで紹介する時計はムーブメントのシリアルナンバーなどから推測(シリアル/製造年表)して1970〜1971年頃の製造のようです。 2003.4 update |
|
|
|
|
裏蓋内側の刻印にある1826は時計品番(リファレンス)。2061766はシリアル番号(固有番号)。ムーブメントの地盤にも別の固有番号が刻印されています。これらの番号には様々な情報が含まれているとのことで、製造年なども推測できるようです。裏蓋内側のIWCマークにはProbus Scafusiaと刻まれていいますが「誠実で確かな技術」という意味。 |
|
|
|
|
ローター中央のカムがアーム先端の2つのローラーに接触して車を回転、ゼンマイを巻き上げます。「ツメ巻上げ方式」に分類される巻上げ方式で、(ラチェット車を使うなど※)セイコーが開発したマジックレバー(1/2)などにも似ています。 ローターの中央・軸は右図の「2」の個所にあたります。ローターの回転に連動して4のハート型カムも回転。ダブル・ローラー「2-3」が左右にピコピピコピコ、、、と往復運動します。この動きにより「5」と「6」のツメが8を一方向に回し(-9-10とつながって)ゼンマイを巻き上げていく仕組み。ローターが左右どちらに回転してもツメが同じ動作を行うことと、8がラチェット車(一方向に傾いたツメを持つ車)になっていることから、8の車は一方向に回転し(整流され)ます。12-13は4を支えるブリッジ。特殊な形状を持ち、13の部分のスプリング効果によりツメ巻上げ方式特有の振動、衝撃を軽減。 |
|
|
|
|
|
|
IWCヨットクラブとのケース比較。文字盤やハンド、インデックスなどはほとんど一緒です。ケースの違いはラグの形状。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
特殊なケース構造を持つヨットクラブ。内側にせり上がった部分は二重耐震装置といわれています。 |