シチズンのレオパール。レオパールは豹を意味します。1960〜70年代のシチズンの普及モデルには52系機械を積んだ「7(セブン)」と総称されるグループがありました。レオパールはその上位機種的な位置付けがされていたようです。特徴は搭載されたハイビート・マシン。レオパールのシリーズは6振動からスタートし、ここで紹介する8振動、さらに10振動へ高振動化されます。ついには優秀級クロノメーター検定合格機械を搭載した「レオパール・ハイネス」まで成熟。シチズンの高級ラインを担ったシリーズでした。 1970年前後はセイコーも諏訪製ロードマチック(6振動)、亀戸製ロードマチック・スペシャル(8振動)などの高振動時計をリリース。5振動機械が多かった国産自動巻はセイコー、シチズン互いの牽制もあったのか一気に高振動化の道を進みました。 今回、入手した時計には8振動機械が搭載。取説には「スーパービート」と印刷されています。シチズンでは6振動機械を「ファーストビート」と呼び、8振動以上を「スーパービート」と呼称したようです。 8振動のレオパールには多様なモデルがリリースされましたが、ここで紹介しているモデルは4時位置に竜頭があります。セイコーの62系にも似ています。カットガラスは時代の流行でしょう。濃紺のGC(グラデーション・カラー)文字盤を綺麗に見せてくれます。 裏蓋表記から製造年月は1973年12月。シチズンの裏蓋表記についてはこちらをご覧下さい。 2002.2 update |
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52系の機械が世に出たのは1965年。60年代前半にシチズン自動巻の主流機械であった03系(ジェット)機械の後継機械として新たに開発された機械です。従来機と比較して「薄型」が何よりの特徴で1960年代後半のシチズン主流機械でした。 72系を搭載した初めての時計はレオパールの6振動。1969年のリリースです。これ以降、72系がシチズンの自動巻主流機械として多種多様な時計に搭載されていきました。上の画像でもわかりますが72系は明らかに52系の流れを組んでいます。見た目の変更点としては6〜10振動の高振動化に伴いテン輪は小型化され、より精密な精度調整が可能となるよう微動調整装置※が付加されています。またヒゲ持ちの形状も微調整が可能なもの(三角ヒゲ持/拡大写真参考)に変更。「片振り調整装置」(テンプは 左右均一に動くように調整する)も付加されました。 ※72系でもセブンスターV2に積まれた7270/7280/7290などは微動緩急装置が削除されています。 ※なお、ここで紹介する8振動レオパールには珍しいCal.7710という機械が搭載されています。レオパールは10振動まで含めて72系が基本となりますが、8振動にのみ、後年77系機械が追加されました。厳密に区分すると、この7710を起点として、同社ファイネスやグロリアスシチズンに連なる「77系」が存在するのです。 シチズンは1974年に全く新しい80系の機械を送りだします。「アドレックス」シリーズに搭載された80系の中には外部から緩急装置を調整できる機械もありました。 シチズンの現行機械式時計には80系の系統機械が搭載。シチズン系の機械製造会社であるミヨタの機械にも片巻式である80系の面影が見てとれます。 |