SEIKO LORD MATIC SPECIAL Cal.5216

   

   

   

   

   

   

   

   

  

  

 セイコーのロードマチック(LM)・スペシャルです。デッドストック(NOS)を入手しました。LMシリーズは1970年代に大変流行し多様なモデル展開が行われました。ヴィンテージ市場でも様々な種類のLMを見かけます。当時はGS、KSに次ぐ高級機で、定番のカットガラスやGC(グラデーション・カラー)文字盤も数多くの種類発売されました。

 日付、曜日とも竜頭を引出してクイックチェンジする方式。上に回すと日付が下に回すと曜日がチェンジします。曜日は和英切替可能。現行のセイコー製機械式時計はこの方式を採用していますが、LMスペシャル以降の機構のようです。

 ロードマチック・スペシャル(1970年〜)は亀戸製の52系機械を搭載し、(「スペシャル」と付かない)ロードマチック(1968年〜)は諏訪製56系の別種類の機械を搭載しています。従ってLMスペシャルがLMに付加機能を持たせた上位機種であるという意味ではありません。(諏訪と亀戸についてはこちらで解説しています)。

 同じ年に発売されたモデルでも、亀戸製LMスペシャルよりも価格が上の諏訪製LMも存在しました。ただし52系機械には56系にはない微動調整装置が付き、振動数も56系の6振動に対して8振動と高振動である分、全体的に亀戸製の「スペシャル」が高価格設定であったことは間違いありません。

 ツキヤさんのページで1974年当時のロードマチック/ロードマチック・スペシャルのカタログを公開しています。カタログ一番上の右端ににここで紹介している時計がありました。 2002.2 update

    

    

  

1974年8月製造です。ケース番号の読み方はこちらを参照。

  

    

   

  

 

    

  

28800振動 8振動/秒

  

  

  

 

   

  

現行4S系の基礎キャリバーとなった52系

Cal.5216A

Cal.4S15A
 現行の国産セイコー自動巻に搭載される4S系(手巻きはこちら)との比較です。4S系が52系の流れを組むことが一目で分かりますね。亀戸52系はロードマチック・スペシャルをはじめ1970年代のキングセイコー、バナックに搭載されました。クオーツ時代に突入する直前のセイコー(亀戸)の最晩期メカであり、その完成度の高さから現行セイコー自動巻の基礎キャリバーになったのでしょう。

  

  

 ロードマチック・スペシャルには今回紹介した5216Aという機械以外に5206Aという機械が搭載されていることがあります。5216Aには5206Aにない「アオリ調整装置」と呼ばれる等時性調整を行う装置が付加されています。また、5206Aが日付曜日送りが「瞬間送り式」であったのに対して5216Aは「揺動レーバー式」という方式に変更。瞬間送りを犠牲に「日付曜日送りの不能区間」を無くしたとのことです。

 所有の5216Aを観察すると日付表示は11時30分頃から緩やかに移動を始め12時でパチンと切り変わりますが、曜日表示は12時以降、2時間近くかけ(和表示に設定していた場合)英語表示を経て次の曜日に切り替わります。※「国産腕時計9/セイコー自動巻(トンボ出版)参照

「日付曜日送りの不能区間」(例/ビジネスA

  

  

亀戸LMスペシャル/cal.5216 と 諏訪LM/cal.5606 の比較

       
ロードマチック 諏訪製 Cal.5601A 21600振動 6振動/秒  
  Cal.5605A 同上 日付付
  Cal.5606A 同上 日付・曜日付
ロードマチックスペシャル 亀戸製 Cal.5206A 28800振動 8振動/秒 日付・曜日付
  Cal.5216A 同上 5206Aにアオリ調整装置を付加。「日付曜日送りの不能区間」を無くす。

※上の分類以外に諏訪製/亀戸製それぞれ23石、25石モデルがありました。

  

  

    

  

オリエントに亀戸52系機械?

  

参考写真

  

現在はセイコーエプソン(旧諏訪精工舎)の子会社になっているオリエントは

1970年当時、Orient GMというモデルに52系の機械を搭載していました。