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ユニバーサルのポールルーターです。1960年頃にリリースされた時計と思われますが、素晴らしい状態を保っています。ケースは18金無垢。 ユニバーサルはユニコンパック、トリコンパックス、エアロコンパックスなどの自社製クロノグラフで有名ですが(マイクロ・ローターを略して)「マイクローター」と独自に名付けた小型ローターを搭載した自動巻機械(考察)でも名を馳せていました。「ポールルーター」はユニバーサル歴代自動巻ペットネームのひとつ。同名の時計の中には初期のバンパー式(ハーフローター)を搭載したモデルもあります。代表的なものはここで紹介するマイクローターを搭載するモデルでしょう。 ポールルーターの名前は1954年11月15日に就航したスカンジナビア航空(SAS)のCopenhagen〜NewYork間北極ルート(North Pole route)に由来します。当時、ユニバーサルの時計はSASの公式パイロットウォッチに採用されていました。冷戦時代は西側諸国の飛行機はソ連(当時)のシベリア上空を飛ぶことは出来ず遠回りして北極上空を飛んでいたのです。これは1991年10月30日にシベリア上空が開放されるまで続きました。 マイクローターは時計機械にローターを被せる方式に比べ機械を薄型にすることが可能。また結果的に非常に美しい造型となっています。 ユニバーサルのマイクローターは1958年に開発された機械。初号機はCal.215。ここで紹介するCal.69はCal.215を一部改良したもののようです。1965年にはより薄型の2代目マイクロローターCal.66が開発されます。これは初代のマイクローターの厚さ4.1ミリに対して2.5ミリの超薄型キャリバー。2針モデルとなっています。ホワイトシャドーやゴールデンシャドーといった時計に搭載されました。 2002.5 update |
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初代マイクローターの機械は何度かの改良があったようです。大きな違いはテンプ上の緩急装置。cal.215-Xは1958年にリリースされた初号機。「POLEROUTER-JET」と名付けられた製品に搭載される例が多いようです。JETは前述の北極ルートを飛ぶ飛行機のことを差したのでしょうか。 Cal.69とCal.69-1の関係はCal.69-1が後の機械のようです。ムーブメントにここで紹介した69とだけ刻印されている機械には特徴的な微動緩急装置がついています。 1989年にユニバーサルがマイクローターの復刻モデルをリリースしましたが、その時計にはCal.69-1が搭載されていました。 |