Mathey Tissot Valjoux Cal.726

  

  

  

  

 Mathey Tissotのクロノグラフ。ダイビング・ウォッチのようです。10位置の竜頭を回すと、文字盤外周にある内転リングが回転。長針の位置に0時を持ってきて(潜水)経過時間を確認します。ただし実際、この時計にダイビングに耐えうる防水性があったかは疑問。“雰囲気”を楽しんだ時計ではないかと想像しています。それでもケースは大型で頑強、極圧のプラスチック風防などを見るとそれなりの防水性があったことは間違いありません。その証拠にスクリュー式の裏蓋を開けると、数十年の間、ケースに守られてきたムーブメントは一点の曇りもない新品然とした状態でした。

 1970年前後の時計と推察していますが、この時代に流行したクロノグラフ・デザインです。オメガのシーマスターにもこれと似たデザインのクロノグラフがありました(下で検証)。一方、多くの無銘ブランドも“この手”のデザインでクロノグラフをリリース、それらのほとんどは、汎用クロノグラフ機械であるカム式のValjoux Cal.7730系が搭載されています。ネットオークションなどでは7730系を搭載した70年代のクロノグラフ()を数多く見かけます。この腕時計も“いかにも”7730系が搭載されていそうな顔なのですが、裏蓋を開けてみるとピラー式クロノグラフ機械であるValjoux Cal.72系の機械が載っていました(Cal.72系の動作解説)。Cal.726という機械で、18000振動(5振動/秒)のCal.72を高振動化、21600振動(6振動/秒)したCal.72系最晩期メカ。それも奇麗に面取り、磨き、金メッキが施された極上の仕上げがされていました。

 Mathey Tissotは時計ファンにとっても馴染みの薄いブランドですが、1886年創業の非常に歴史のある時計ブランドです。先に所有していたMathey Tissotのクロノグラフにもピラーホイールを採用したValjouxが搭載されていました。ちなみに「Mathey Tissot」は、OMEGAと関係の深い時計メーカー「TISSOT」とは関係ありません。 2004.5 update

    

    

  

  

3時位置、6時位置の竜頭には「M」と「T」をデザインしたMathey Tissotのマーク。

  

  

  

角式のスクリューバック。いつもこれに苦労します。「裏蓋開け強敵との戦い」はこちら

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

Valjoux Cal.726 21600振動(6振動/秒)

  

  

  

   

  

  

  

  

  

  

  

    

Valjoux Cal.726

21600振動(6振動/秒)

Valjoux Cal.72

18000振動(5振動/秒)
 Cal.726は高振動化しているのでCal.72に比べてテン輪のサイズが小さくなっています。

  

  

  

  

(参考写真)

顔が似ている1970年頃のOMEGAシーマスター。こちらの搭載機械は同社Cal.861(lemania Cal.1873系)。