WITTNAUER REVUE Cal.76

  

  

  

 Wittnauerの手巻時計です。14金無垢ケース、1940年代の製品でしょう。一部、経年によるくすみは見られますが、未使用品ですので、大変綺麗な状態を保っています。独特なデザインのラグは40年代のアメリカ・トレンド。当時のアメリカ市場向けに作られた時計です。

 文字盤にはWITTNAUERとREVUEの文字。今回はこの2社の歴史と時計の素性について調べてみました。結論から言いますと「Wittnauer & Co.がアメリカ市場向けの時計をRevue-Thommen SAに製造委託。アメリカにおいてWITTNAUERブランドで販売した時計」のようです。WITTNAUERとREVUEについてはそれぞれ特異な企業形態であったために、時計ファンの中でも社史について理解の進まないブランドでした。今回、このあたりを整理してみたいと思います。まずはWITTNAUERとREVUEの歴史について紹介します。

 WITTNAUERの歴史。1840年代、スイス時計産業に携わる多くのビジネスマンがアメリカ市場への進出を試みていました。Eugene Robertもそんなビジネスマンのひとり。1845年、アメリカからスイスの故郷の町に戻った彼は、義理の兄であるAlbert Wittnauerと共にスイス製ウォッチをアメリカに輸出するビジネスをスタートさせます。この業務を行う会社として「Wittnauer & Co.」が設立されました。Agassiz、Audemars-Pigues、Longines、Angelusなどを取扱い、アメリカ、カナダの現地輸入代理店としてこれらの時計を輸入販売。また、自社ブランド「WITTNAUER」の製品展開も行います。様々な種類の時計を複数のスイスメーカーに製造依頼し、完成品を「WITTNAUER」銘で販売しました。名門のGirard-Perregauxもこのオファーを受け時計を製造したメーカーの1社です。Wittnauer & Co.は、この業務のヘッドオフィスをスイスのGeneveに置いたことから、同種の製品(文字盤など)には「Wittnauer Geneve」と記されることもあります。さらに、当時は外国製時計の完成品をアメリカに輸入する際、高い関税が掛けられていたことから、これを逃れるために、関税の安い部品状態のムーブメントをスイスから輸入し、アメリカでケースと一体化し(完成品として)販売するビジネスモデルもいち早く構築しました。

 例えばこのロンジンは「Wittnauer & Co.」がアメリカにおいて輸入代理店の立場で扱った「Longines」製品で、さらに前述のようにムーブメントのみを輸入、ケース(組立て)作業をアメリカで行ったものではないでしょうか。裏蓋の刻印、ムーブメントにあるUNADJUSTED(未調整の部品状態で輸入された証明)の刻印から推測されます。

 

 REVUEの歴史。Gideon Thommenは1869年、ウォッチカンパニー「Revue-Thommen SA」をスイス・バーゼル近郊の町、Waldenburgに設立しました。「REVUE」が同社のブランドとなります。1870年代には完成品、ムーブメントなどをアメリカに大量輸出するまでに成長。1905年の時点で、年間製造個数は10万個までになっています。1962年にはVULCAIN/バルカンなど同業他社とMSRグループ(MANUFACTURES D'HORLOGERIE SUISSES REUNIES SA)(こちらで解説)を設立。時計パーツの共同購入、製造などを行い、「Revue-Thommen SA」は中心的な役割を担いました。MSRグループのもと、各社は自社ブランドの展開を行っていましたが、次第に圧倒的に巨大企業であったRevue-Thommen SAのブランドに集約され、「REVUE」銘「REVUE-THOMMEN」銘の製品を同グループ各社が協力して製造するようになります。機械式アラームウォッチの「クリケット」はもともとグループ結成前にVULCAIN/バルカンが自社設計、製造していた製品でしたが、80〜90年代に「REVUE-THOMMEN」銘でリリースされていたのはこういった理由からでしょう。(※2001年にPMH SA/Puroduction&Marketing Horlogerが「バルカン社」「クリケット」のブランドを買収し、現在は再度、バルカン銘でクリケットが製造、販売されています)

 以上、WITTNAUERとREVUEの歴史、企業形態を調べてみると、今回紹介する時計は前記したように「アメリカ市場向けの時計を、Wittnauer & Co.がRevue-Thommen SAに製造委託。WITTNAUERブランドで販売された時計」であり、さらに機械の「UNADJUSTED」刻印、裏蓋内側の「NEW YORK」の刻印、などから「ケース(組立て)作業をアメリカで行った」ことも推測されます。 2005.4 update

    

  

  

  

  

  

  

  

REVUE Cal.76 この機械にはいくつかのバリエーションがあるようです。

  

  

  

 テンプのブリッジに3文字のアルファベット(AXA)が刻印されています。これはスイスコードイニシャルと呼ばれ、機械製造メーカーではなく、最終的にケースされる(完成品の)ブランドの識別番号だったようです。下の一覧表と照合するとAXAはWittnauerのスイスコードイニシャルであることが分かります。例えば、このREVUEの機械がWittnauer以外のケースに載っていた場合、機械の載せかえが推測されるのです。

  

   

  

  

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