セイコーのジャイロマーベルです。1959年に諏訪精工舎(諏訪・亀戸はこちらで解説)で製造が開始されました(当時の新聞広告)。セイコーブランドとしては2代目の自動巻腕時計。第二精工舎・亀戸工場で開発、製造されたセイコー自動巻の1号機(11A)は非常に高価であったために多くの普及には至りませんでした。そこで自動巻腕時計のより一層の普及を目指し、諏訪精工舎から値段抑えたジャイロマーベルが発売されました。11Aが1955年当時、16000円(AGFケース)だったのに対して、ジャイロマーベルは1959年当時、6400円(EGPケース)。ただし1959年当時の大卒初任旧は1万円強でしたから依然、腕時計自体が高級品であったことに違いありません。
ジャイロマーベルはマジックレバー方式(こちらで解説)を初めて搭載。また、国産腕時計では初めてローター部分にベアリングを採用しています。これらの方式はセイコー自動巻の基礎となり諏訪62系へ引き継がれました。11AはスイスのAS社のコピー機械でしたので、オリジナル設計のマジックレバー自動巻を搭載したジャイロマーベルこそが“セイコー自動巻の祖”と言えそうです。 2002.9.1
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