CITIZEN HISONIC TUNING FORK

  

  

  

  

 

  

 シチズンの「チューニングフォーク・ハイソニック」。1970年初頭の時計。ブローバ社が開発した音叉発振式機械が搭載されています。音叉式時計についてはこちらで解説(AB)。ブローバ社では音叉発振式のことを「アキュトロン」と呼んでいましたが、シチズンにおけるそれが「チューニングフォーク」で、ペットネーム(製品名)にあたるのが「ハイソニック」になります。特許自体はブローバ社が所有しており、日本のメーカーではシチズンだけがその特許使用権を買い同式の時計をリリースしました。

 セイコーが開発したクオーツ技術を搭載した時計が初めて発売されたのは1969年。“車が買えるほどの高価格”(初号機は45万円)に普及は数年かかったようです。機械式からクオーツの過渡期にシチズンが積極的に販売したのが音叉式とは別の電子(電磁)テンプ式と呼ばれる時計。1970年前後の数年は“電池式時計”としてある程度のシェアを握ったようです。ここで紹介している音叉式時計についてもクオーツへの橋渡しをするような格好となりました(当時の広告)。

 当時のシチズンにおける位置付けは、音叉式が最高級品、電子(電磁)式が高級品、その次に機械式時計という具合だったようです。セイコーが先行したクオーツ式についても1973年にシチズンの製品がリリースされますので、様々な電池駆動方式(振動技術)が開発され、主導権をめぐり混沌とした時代だったのかもしれません。

 紹介する時計は未使用品で入手することができました。ケース、ブレス、文字盤ともそれまでの国産時計とはデザインの方向性が異なります。音叉式という新技術を搭載するに相応しい外装デザインを目指したのかもしれません。 2000.12 update

    

  

  

  

  

  

  

  

  

  

 

   

竜頭を引くと電流がストップしハック機能が働きます。

  

    

  

チューニングフォークとは一般的に楽器調律で使用する音叉(棒)のことです

  

    

  

ブローバ社やヤマハのマークも音叉をモチーフとしています

  

  

      

  

 独特な輪列を持ちます。石数は15。 

 

    

    

    

    

   

 所有するアキュトロン・スペースビューとの比較。ブリッジの形状などは異なりますが基本的には同じ機械のようです。ボタン電池は共に1.35Vを採用しますが形状は違います。ハイソニックにはスイスのRENATA343が入っていました。シチズンからも対応する電池が現役で販売されています。

 入手が難しいと言われるアキュトロンの電池ですがドイツのVARTA387が入っています。水銀が使用されているということで一時製造が中止されてしまいましたが、その後、新しい387Sが発売。海外のカメラ機器で使われることが多い電池ですのでカメラ専門店に売っていることが多いようです。