ZENITH Prime

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

 ゼニス(同社の歴史)の自動巻クロノグラフ「エル・プリメロ/El-Primero」を手巻き仕様にした時計です。自動巻機構からローターを外したので時計の名前も「Primero」からrotor(ローター)の頭文字の「ro」を外して「Prime」。“洒落て”います。現在エル・プリメロとして知られる機械はゼニスとモバードが共同開発したCaliber 3019 PHCが原形。1960年代後半に世界初の自動巻クロノグラフを目指して開発されました。自動巻機構を持たせることに腐心したクロノグラフ機械からローターを外してしまうとは本末転倒な話です。いやむしろ贅沢な時計かもしれませんが。

 精悍で硬派な黒文字盤。ラウンドしたラグや樽型のプッシュボタンがクラシックな印象です。シースルーバックの裏蓋からはピラーホイール式の複雑なクロノグラフ動作を観察することが可能。ローターがないことでその恩恵はさらに大きいです。手巻き専用にチューニングされているのでしょうか、竜頭の巻上げ感は適度な重さでなかなかの好感触。

 「Prime(プライム)」の発売当初(1994年)はいよいよ本格的な機械式時計ブーム到来に、市場にほとんど存在しなかった「手巻きクロノグラフ」発売への要望がありました。一方であまりに限られたマーケット向け製品であったことから、その認知度は低くセールスは思わしくなかったようです。1997年には製造中止となり、手巻きCal.420を搭載した現行時計は消えてしまいました。しかしその後、機械式時計ブームがさらに盛り上がり、2000年には同キャリバーを積んだ時計が復活。「クラス・エル・プリメロHW(ハンドワインディング)」が発売されます。しかしエル・プリメロ系のラインナップ中、最廉価(当時定価22万円)で異端児的な存在だった「プライム」とは異なり、「クラス・エル・プリメロHW」は自動巻の「クラス・エル・プリメロ」よりも高価格設定になっています。現在LVMH(ルイ・ヴィトン・モアヘネシー)グループ傘下となったゼニスは、エル・プリメロをますます高級時計専用機にポジショニングしていくことは明らかです。

 「プライム」は今一つあか抜けなかった旧体制のゼニスが、機械式時計ブームの早い時期にいきおいで企画した製品だったのでしょう。 2002.4 update

    

  

    

  

文字盤には旧ゼニスマークが見られます。

  

  

  

   

シースルーバックを外してみました

  

  

  

  

各種キャリバー比較

  

ZENITH cal.420

ZENITH cal.400(El-Primero) 参考写真
 cal.400とcal.420の違いはローターの有無。25石と31石の石数の差は自動巻き構造に使われる石数の差そのもの。そのままのブリッジ形状からもローターと仲介車を外しただけの印象は否めません。バカ穴(ネジ穴)はふさいでほしい。

   

ZENITH cal.420 10振動/秒

ETA Valjoux7760 8振動/秒
 Valjoux7760はValjoux7750からローターを“取り外した”機械。ベースが自動巻クロノであるという点ではcal.420と同じスタンス。7750はカム式、スインギングピニオン式であるため雰囲気は随分と違います。カム式とピラーホイール式の操作感の違いについてはこちらで解説。

  

ZENITH cal.420 10振動/秒

Valjoux72 5振動/秒
 ピラーホイール式、スライディングギア採用の基本構造は同じ。Valjoux72はブリッジの造型に曲線を多用。一方 cal.420は直線を基調としている印象があります。5振動と10振動の差はテンプの大きさに現れています。※スライディングギアの解説はこちら。

  

  

  

  

  

  

  

  

   

  

  

  

  

  

   

  

  

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