セイコーのバッテリーウォッチ「EL-330」。クォーツ腕時計が普及する直前に数年だけ市場に出回った「電池」で「テンプ」を駆動する“電磁テンプ式”と呼ばれる方式の腕時計です(機械一覧)。セイコーは「諏訪31系・ELECTRONIC/1968〜」→「諏訪37系・EL370/1970〜」→「亀戸33系・EL330/1971〜」→「亀戸07系・ELNIX/1973〜」と大きく4系統の“電磁テンプ式”を発売しました。諏訪が先行し、亀戸が70年代に入ってから後を追った形ですが、これは諏訪精工舎が1969年にクォーツ腕時計を発表し、70年代初頭にはクォーツ腕時計に注力していたからかもしれません(諏訪と亀戸の解説はこちら)。 セイコー製では唯一の有接点アンクル“片側”駆動です。テンプの一方向回転にのみ電磁の力を使い、反復運動はヒゲゼンマイのほどける力を使用。 33系搭載のケースのほとんどは文字盤側から機械を取り出す方式を採用していることもあり、機械画像はあまり世に出たことがありません。今回、時計機械を取り出し撮影していますのでご覧ください。“電磁テンプ式”ながら、なかなか美しい時計機械でした。 2005.7 update (参考)国産腕時計3「セイコークロノス」トンボ出版 |