KING SEIKO

      

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

 亀戸/第ニ精工舎(解説)初の男性用腕時計「クロノス」(1958年〜)の系譜に乗る「キングセイコー」です。1961年に発売された初代「キングセイコー」と同系の機械を搭載していますが、初期製品と比べると全体的にボリュームのある現代的な外装意匠となっています。

 この「キングセイコー」は1964年12月に製造がスタートしたモデルですが、それまでのセイコー製品とは明らかに異なるデザイン指向が見てとれます。平面を主体とし2次曲面を組み合わせたデザインは、後に「セイコースタイル」(解説123)と呼ばれる同社のデザイン・アイデンティティーに通じています。その萌芽はここにあったのかもしれません。

 搭載機械には秒針規正(ハック機能)を行う特殊なレバーが付加。機械上面から見るとこのレバーが「カマ」のように見えることから「カマ付き」などとも言われます。この機械の後継機(1965年後半〜)では規正装置が改良され、またその部品も機械内部に移動したことから機械の見た目に明らかな違いがあります。さらに後継機では「受け」の形など部品形状にも変更があり、さらに「44A」という機械(キャリバー)番号が与えられます。つまりここで紹介する「キングセイコー」まで亀戸製機械には機械番号がありませんでした。

 以上のことから機械分類上、この「キングセイコー」は初期型に属することになります。一方で初期製品とは明らかにことなる外装は「44A」を搭載した後期製品(後継機)のそれと同じ。

 ここで紹介する「キングセイコー」は、クロノス派生の「キングセイコー」の中において、前期(ファースト)モデルと後期(セカンド)モデルのはざまにあったモデルと言えます。また前述した特殊な規正装置が付加した機械は明らかに他の初代キング/44系機械とは異なり、製造年数も1年ほどと短かく現存数も少ないことから時計ファンの中でも入手困難なモデルとして知られています。

 特筆すべきはその機械造形の美しさ。同時期の諏訪精工舎(解説)を代表する腕時計である「マーベル」(1956年〜)搭載機械が、直線を基調に設計されているのに対して、亀戸/第ニ精工舎製「クロノス」の搭載機械は全ての部品が曲線基調で設計されています。この「クロノス」をベースとし各部品を磨き込んだ「キングセイコー」の機械からは、諏訪製にはない独特の“優雅さ”が伝わってきます。その機械の上に乗る規正装置の「カマ」が時計“機械”ファンにとってさらに嬉しい“仕様”であることは言うまでもありません。 2005.9 update

    

  

  

  

  

  

  

1965年6月製のようです。ケース番号の読み方はこちら

  

 

   

  

  

  

  

  

テン輪の下に「32」の数字が見えますが何の番号かは不明

  

  

  

  

    

  

亀戸製機械のテンプ両持ちブリッジ

CRONOS

KINGSEIKO

Cal.4500A

Cal.890

Cal.3302A

Cal.052
 CRONOS/クロノスからスタートする亀戸製機械のひとつの特徴としてテンプ両持ちブリッジが上げられます。利点は「テンプ受け自体を充分な中心距離をもった上下の両支点で位置決めすることができ、さらにその中心にテンプをのほぞをすえることにより“通りすがい”を最小にすることができる」(国産腕時計3セイコークロノス/トンボ出版より)とのこと。1967年にニューシャテル天文台で行われたクロノメーターコンクール(解説)で第二位を獲得した亀戸製(コンクール専門機)Cal.052もテンプ両持ちブリッジを採用しています。なお同コンクールで諏訪製の出品機械は第三位。ちなみに翌年の1968年、突然にニューシャテル天文台のクロノメーターコンクールは中止となりましたが、前年コンクールの(スイス製ではない)セイコー製機械の好成績が原因とする説もあります。

  

  

  

  

    

  

  

  

  

  

  

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